本: 2008年9月アーカイブ

ミミズクと夜の王

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電撃文庫というライトノベルの文庫から出版されているものの、ぜんぜんライトじゃないというので話題になったこの作品、近所の図書館で貸し出し可能になっていたので早速借りて読んでみました。

確かに、挿絵が一切無かったり、スラングや誇張表現を用いず文章で読ませるスタイルであったりと、確かにいわゆるライトノベルとは毛色が違う作品でした。が、一線を画するというほどかけ離れているわけではありませんでした。奇を衒わないストロングスタイルには好感が持てますが、一方で瞬間風速で勝負をかけた作風なことから、永く印象に残るという作品でも無い気はします。しかし、それを筆者自身が意図していたものだと後書きで語っている潔さこそ強い好感が持てます。

対象年齢は中高生あたりまでになると思いますが、本を読み慣れない若人を読書の道に引きずり込むきっかけになれる読みやすさと内容を兼ね備えた作品で、「むかしむかし」から始まって、「めでたしめでたし」で終わる、真ん中高めのストレートで勝負する清々しさを感じました。ただし、内容はほぼ皆無です。
実は以前よりかなり期待していたので少々辛い評価となってしまいましたが、まずは秀作と評して問題ないかと思います。ただし、逆R18です。世間擦れした大人には素直に受け入れがたいお話と言えば、概ね理解してもらえることでしょう。6割くらいダークサイドに身を沈めている人間にとってはなおさらです。

太宰治 「斜陽」

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日本文学の中でも、太宰治はなぜかスルーしていました。決して、モテのクセにすぐ心中したがる阿房の作品なんぞ、読んでられるか!という気持ちからではありません。
ではなぜ、いまさら太宰なの?と問われると困るのですが、あえて言うならモラトリアムの象徴として、村上春樹、太宰治、サリンジャーは読んどけ!という記事を読んだからでしょうか。そろそろ30歳にリーチがかかる微妙なお年頃の私としては、20代で消化しておくべき事柄の一つに思えたのです。

今回は斜陽を含む、太宰の作品集を2冊読んでみたのですが(人間失格は最後に温存)、いまさらながら「太宰ってイイよね!」と、プチハマり気味です。
人間のダークサイドを切々と語り、登場人物は概ね歪んだコンプレックス持ち、ドロッドロの劣情が大好物(同じドロドロだと安心する^^)な私にはうってつけの作家です。
「斜陽」は滅びの美学を描いた作品と解説されることが多いのですが、あまりそういう雰囲気を感じず、どちらかと言えば「貧すれば鈍する」がメインテーマなのかなと感じました。少なくともこの作品のような既に落ちている状態からさらに積極的に自暴自棄になる姿は、滅びの美学などというほど優雅なものでは無いと思います。

それにしても、太宰さんがここまで人間のダークサイドを好む作風だとは思いませんでした。近々読む予定の最後の控える人間失格が楽しみでなりません。

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mixiの本コミュにてオススメSF小説として挙げられていたので、読んでみました。最近はオンライン古本屋をよく利用するのですが、ほしいモノが4-5冊あるならば非常にお買い得です。ちなみにこの本は150円でした。
さて、この作品の作者は「円環少女」というシリーズを連載中らしく、生憎私はしらなかったのですがけっこう有名な作品らしいです。「楽園」はデビュー作とのことなのですが、オススメできるほど面白いというわけではありませんでした。なんというか・・・ 最初の数ページで概ね展開が読めてしまうのは仕方が無いにしても、もうすこしひねりが欲しかったなぁというところです。ただし、まるで見るべき点が無いというわけでもなく、150円という価格、45分で読めるボリュームならば、アリかなぁとも思います。

なんだか凄く手厳しい評価になってしまいましたが、まず星間戦争ありきという話と、やりすぎなほどの人体改造、そして下手をすると表紙+最初の2ページでネタが割れる少女という構成が、うーん・・・なわけです。
ではなぜ、取り上げたかというと・・・ 戦艦が緑の大地に突き刺さり、大きなモニュメントとなっている姿、この情景描写がとても印象に残ったことと、表紙は典型的な萌えライトノベルなのに、中身は硬派であったことにちょっとだけ好感をもったから、というわけです。
よほど暇で、ブックオフなどで200円以内で購入できる、もしくは図書館で借りられるのならば、ハズレ覚悟で読んでもいいかな?くらいの評価が妥当だと思います。

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