すこし前に手塚治虫の名前を関する漫画の賞でなにかしらの受賞をしていたこの作品、ローマ好き！風呂好きなら絶対に読むべきとの書評を目にしたのでいつか読んでみようと思っていたところ、避暑（笑）に立ち寄った喫茶店で偶然見かけたので読んでみました。
ストーリーは古代ローマ帝国、五賢帝時代（トラヤヌスのとき？）の風呂専門っぽい建築家であるルシウスさんが、風呂で溺れるたびに現代日本へタイムスリップして着想を得ることにより、古代ローマに戻って画期的な風呂を建築し名声を得るというわけのわからんコメディっぽい作品です。かつて無いタイプの作品ですが、とりあえず大人向けという前提はあるものの（子供が読んでもあまり面白くないかも知れないタイプの面白さ）、万人に薦められる秀作でした。
それにしても、古代ローマ帝国は統治者が優秀であれば男色趣味を公言していても大した問題にならない寛容さ（能力に関しては厳正な審査があるとはいえ）は現代では考えられず、文化レベルの差こそあれど、現代とくらべて精神的な豊かさという意味ではほとんど変わらない時代だったのかなぁと、なんだか歴史に思いを馳せたくなる作品です。
いろいろ面白い試みの作品であり、どのシーンも甲乙つけ難いのですが、あえて言うならば主人公のルシウスさんが現代日本にあらわれたとき、浴衣やバスローブをトーガ風に見事な着こなしをしている点は必見です！このネタでどこまで引っ張れるのかは甚だ疑問ではありますが、現在のところ順調に連載されているらしいので続きにも大いに期待してます。
