乙一さんの本を何冊か入手したので今日はひたすら消化しました。といっても2冊ですが。
しかしながら、ブックレビューサイトで角川スニーカーの傑作(ただし作風はぜんぜん角川スニーカーではない)と評価されているだけあって、さすがに読み応えがあります。
2冊とも短編集で本のタイトルにもなっている失踪Holidayは実写化もされたらしいのですが、わたしはイマイチの評価でした。虚言誘拐ネタがキライなので仕方が無いといえばそうなのかもしれません。
面白かったのは
・Calling you ・華歌 ・しあわせは子猫のかたち
の3作で、乙一さんの作品はいままでミステリーやサイコホラーに属するものしか読んでいなかったのですが、作風というか文章の質は変わらないのに受ける印象は全然違いました。
ハッピーエンドにはなりにくい作家さんだとは思っていましたが、本日読んだ2冊の中の作品はすくなくとも後味が悪い作品ではなかったので、比較的読みやすいかと思います。
奇をてらうでもなく、特別な表現をするでもなく、それでも引き込まれてしまうところに乙一の文章の巧さがあるのだと思います。この作品郡も大学生の時分に書いたものなのだそうですが、若手作家のパイオニアとしての評価も頷けます。
最後に、とても気に入った箇所をちょこっとだけ引用すると・・・
「旅行先であるオーストラリアのおみやげと称して、家から五分の距離にあるコンビニエンスストアで購入した「コアラのマーチ」というお菓子を家族に配った。」
こういうところが私はお気に入りです。