本: 2012年6月アーカイブ

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この本は面白いSFが読みたいのに探しても見つからないとき、おもむろに積み上げられた本の山から取り出して読む為の本。いわば読む前からとっておきの一冊でした。なにせこの作品の書評は大絶賛の嵐であり、古典SFでありながら一般読書愛好家でも十二分に読む価値アリとされているのであれば、面白くないハズがありません。
ここのところDiablo3のおかげで心が荒んできているので、確実に面白い本を読んでSAN値を回復させようと、まさに先述したとおりに"おもむろに取り出して読み始めててみた"わけですが、期待に違わぬ素晴らしい作品でした。

この作品はSF作品であり、SFの中のSFといっても良いくらいのガッチガチなSF作品ですが、それであっても一般の読書愛好家が読んでも全く苦にならないと思えるほど判りやすく、それでいて興味深く、タネ明かしでは本当に肌が粟立つような戦慄があり、そして最後の最後までネタが用意されているので、安心して薦められます。

そして、あまりの面白さにネタバレを連発してしまいそうな勢いなのですが、さすがにこの作品は興味があるのならば実際に読んで見ることを強くオススメしたいと思えるほどのものであり、ネタが割れて面白さが目減りすると、あの感動を共有できなくなってしまう恐れがあるので本の内容には触れません。が、私は躊躇なくホームラン級の面白さであったと断言できます。(ソロホームランくらい。スマッシュヒットの中では一般的な威力です)

そして何が嬉しいって、この作品には続編があるということを読み終わって知ったこと。コレに尽きます。続編はそこまで評価されているわけではないので異常な期待をかけないようにしています。が、すでにAmazonに発注を入れたので、週末には届くことでしょう。今週末が非常に楽しみです。

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ネット上の読書系掲示板で頻繁に行われる"読まなきゃ読書人生を損する作品"のスレッドで旅のラゴスはまず間違いなく出てくる作品の一つです。それほどまでに評価されているのであれば、いずれ読んでみようとおもっていたのですが、なかなかその機会に恵まれず10年以上も放置していました。ところが最近、近所のブックオフもどきな古本屋の100円ワゴンで文庫本を発見し、ようやく巡りあう事ができ、早速読んでみました。

この作品ははかなり薄い本で(直前に読んだ"新世界より"の1/8くらい?)ボリューム的には勤務中の休み時間だけ読み進めても1週間かからず消化できるくらいであり、最初に手にとったときはこのボリュームで本当に面白いのだろうかと不安になったものです。が、物凄く面白いというわけでもなく、興奮するでもなく、されど情緒あり哲学ありSFあり、流転するラゴスさんの人生を時には薄っぺらく、時には重厚に描いた不思議な魅力を感じる作品でした。ラゴスさんは旅の途中で2回奴隷になったり、3人と結婚したり(そのうち1回は幼妻と重婚ですよ!ありえん!!)、教壇に立ったり、為政者に祭り上げられたりと、尋常ではない身分の変化を旅の中で経験するのですが、ラゴスさん自身はその変化の中でも自らの目的のみ追い求め、富や名声にまるで頓着せず超然としながらも全てを受け入れ、そして最後に捨ててゆく姿が実に清々しかったです。

この作品は先にも述べたとおりボリュームが無く、気になったらすぐに読みきれる作品なので、興味があったら読んでみると良いかと思います。が、私は"読まなきゃ読書人生損してる"と思うほどの作品だとは思いませんでした。無論、つまらなくもなく読んで損したとも思いませんが、大きな期待を抱いて読むとおそらく裏切られます。過剰な期待を込めず、軽い気持ちで読んでみるとなかなか面白い作品だなと多くの人が思えるような作品ではないかと私は評価します。

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