本: 2010年5月アーカイブ

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P・E・ドラッカーさんといえば、経営の哲人、マネジメントを体系化した偉人として、マネジメントに携わる人間すべての先生ともいえる存在です。亡くなって数年経ちますが、名前だけなら誰もが聴いたことがあるでしょう。
そのドラッカーさんの著書の中でもっとも有名なのが「マネジメント・基本と原則」という本で、私は異動を期にマネジメントについても学ばなければという気持ちでエッセンシャル版を読みました。内容はエッセンシャル版でも難解で、じっくり読まなければうわべの内容すら理解できず、Webで解説を探しながら時間をかけて読んだのを覚えてます。内容は実に深く、いまだ十分に内容を理解できたとはこれっぽっちも思いませんが、「迷ったときは原則に戻る」という教えの「原則」に相当する部分をドラッカーさんのこの本を参考にするケースが多々あります。それゆえ今でも月に1ー2回くらいの頻度で何項目か読み返すほど慣れ親しんだ本なのですが、本当に理解出来ているのか不安を覚えることもよくあります。
そんな折、見かけた(というか、週間ダイヤモンドの表紙になってた)「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 」という本をAmazonさんからお取り寄せしてみました。どういう切り口で話を進めるか、野球部をドラッカーのマネジメント手法でどう改善するか、興味は尽きません。
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早速読んでみたのですが・・・ 正直なところ、文章は稚拙です。読み物としての出来はアマチュアレベルを出ない代物で、これがドラッカーじゃなければこんなに話題にはならなかったでしょう。しかし!この本は楽しい物語ではなくドラッカーの教えを実践的に解説したマネジメントの本だと思えば、不思議となかなか面白くなります。ドラッカーの本の中では、大企業の例や抽象的な例が多々出てくるのですが、ソレを野球部に置き換えて解説すると、ややもすると大袈裟になりがちなドラッカーのマネジメントが身近なところにも適用できるという例として適切なように思えました。
はっきり言ってしまえば、エッセンシャル版でも「基本と原則」は読みづらい書籍なので、普段から本を読み慣れてない人にいきなり読んで理解しろというのは無理があります。あの程度が理解できない人にドラッカーの著書は必要ないという意見もありそうなものですが、それは全くの間違いでしょう。マネジメントの手法は目標設定や自己管理などそれこそ小学生でも知っていて損は無い要素に溢れていて、難解なのがもったいないといつも思ってました。それ故に、読みやすい、取っ付きやすい「もしドラ」は入門書としてうってつけです。そして、「もしドラ」で興味が出てきた項目を「基本と原則」で探して読んでみると、さらに深く含蓄のある教えを、いきなり読むより遙かに容易に理解することができるのではないでしょうか。
「基本と原則」は、会社勤めでマネジメントを意識しなくてはならない立場になれば、いずれ誰かから薦められる本ですが、いきなり読めと言われても何度もいうように取っ付きにくいものです。また、頑張って読んだからといって、いきなり劇的にマネジメントができるようになるわけでもありません。よって、とりあえず世界で一番読まれているビジネス書籍がいったいどんなものなのか、ざっと内容だけでも押さえておくという用途にも、この「もしドラ」は向いてます。そこまでオススメの本というわけではありませんが、難解な「基本と原則」を買って挫折するくらいならば、もしドラを読んだ方がだいぶマシだと思います。

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