太宰治 「斜陽」

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日本文学の中でも、太宰治はなぜかスルーしていました。決して、モテのクセにすぐ心中したがる阿房の作品なんぞ、読んでられるか!という気持ちからではありません。
ではなぜ、いまさら太宰なの?と問われると困るのですが、あえて言うならモラトリアムの象徴として、村上春樹、太宰治、サリンジャーは読んどけ!という記事を読んだからでしょうか。そろそろ30歳にリーチがかかる微妙なお年頃の私としては、20代で消化しておくべき事柄の一つに思えたのです。

今回は斜陽を含む、太宰の作品集を2冊読んでみたのですが(人間失格は最後に温存)、いまさらながら「太宰ってイイよね!」と、プチハマり気味です。
人間のダークサイドを切々と語り、登場人物は概ね歪んだコンプレックス持ち、ドロッドロの劣情が大好物(同じドロドロだと安心する^^)な私にはうってつけの作家です。
「斜陽」は滅びの美学を描いた作品と解説されることが多いのですが、あまりそういう雰囲気を感じず、どちらかと言えば「貧すれば鈍する」がメインテーマなのかなと感じました。少なくともこの作品のような既に落ちている状態からさらに積極的に自暴自棄になる姿は、滅びの美学などというほど優雅なものでは無いと思います。

それにしても、太宰さんがここまで人間のダークサイドを好む作風だとは思いませんでした。近々読む予定の最後の控える人間失格が楽しみでなりません。

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このページは、が2008年9月15日 20:30に書いたブログ記事です。

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