本: 2007年4月アーカイブ

築地魚河岸三代目

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最近お気に入りのコミックです。魚介類に絞った美味しんぼのようなものですが、アレとくらべると押し付けがましい表現がなく、ほのぼのとした癒し系の物語と言えるでしょう。

 さて、この本は魚介に絞ってあるというだけあって、読みながらいろいろと魚介のうんちくを仕入れさせてもらっているわけですが・・・14巻の毛蟹の話はあらゆる意味で衝撃的でした。以前、毛蟹の食い方も知らないということが解り、自分自身の無知を恥じたワタクシでしたが、今回も目から鱗が落ちる思いでした。簡単にまとめると、

・毛蟹は季節モノではなく、基本的には年中手に入るカニであるということ。
・高級というわけではなく、しかるべきところで買えばお手ごろ価格で購入できる。
・インターネットで購入する毛蟹はピンキリなのであまり信用ができない。

という3点です。
ネットの直販で買う気マンマンだった私はすっごく焦りました・・・ しかも!産地である北海道は観光客目当てのお店で相当ボッた価格設定にしてあるらしく、地元で食べる方がかえって高くつくことすらあるそうです。
 コミックの内容をそのまま鵜呑みにするわけにはいかないので、ネットでいろいろ調べてみようとおもったのですが、毛蟹で検索すると通販ばっかりでまともな情報が出てきませんでした。これはもう・・・本職の魚屋さんに聞くしかなさそうです。田崎の卸売りの場外にでもいってみようかな。
 また毛蟹の話になってしまいましたが、築地魚河岸三代目はそこそこオススメできる漫画です。
 

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 最近お気に入りの中国近代モノです。陳瞬臣先生の新書で発行もわりと新しいのですが、集英社の新書はノーマークなので図書館でみかけるまでまるで知りませんでした。
 内容は、アヘン戦争以降に活躍した中国の英傑列伝で、登場人物の有名どころは林則徐、李鴻章、孫文、魯迅、袁世凱あたりでしょうか。以前に読んだ「蒼穹の昴」の梁文秀のモデルである梁啓超や、作中にでてきた康有為なども含まれています。

 読んでみて思ったことは、その時代の知識が多少はないと内容を理解するのもむずかしという点で、私も最近凝っているので理解できたものの、予備知識無しでは面白くは読めなかったでしょう。清朝での科挙制度の概略やアヘン戦争、太平天国、清仏戦争、東学党の乱、義和団の乱、辛亥革命あたりはまで押さえておかなないと、誰がどっち側の人間かというのがかなり解り辛いです。まとめてみると、洋務派と変法派、変法派の中に保皇派と革命派があるだけなのですが・・・この度はそれが理解できただけでも収穫です。
 李鴻章が現代中国ではあまり評価が高くないということ(最近はだいぶ見直されてきているらしい)は驚きでした。その理由というのは偏に国土の喪失にあると言われれば、低く評価される理由も全くわからなくは無いです(でも不当だと思います)。私個人としては、あの時代、あの状況で踏みとどまれたのはプレジデント・リーの活躍そのものだと思うのですが、天津条約の内容と日清戦争の結果だけをみれば、たしかに負け続けと言えなくもないのでしょう。
 また、魯迅の著書である「阿Q正伝」は、高校の図書館の書庫の中で、私のお気に入りの席からちょうど見えるところに格納されていて、何度か読んでみようとおもったものの、軽く目を通しただけで終わってしまった思い出があるのですが、この著書にて彼の国の人のメンタリティについて言及しているとのことなので、とても興味をそそられます。

 この本でも言及されていましたが、なぜ清がアヘン戦争を仕掛けられるような状況になってしまったかという原因は、劉大夏の焚書がかなり大きな要因になっていたのではないかと思います。かつては海をも支配していた中国が、そのエッセンスを後代に繋げず、元明清代は海を知らない国家になってしまったから列強と大きな隔たりができてしまったわけで、アレが無ければもうちょっと外にもベクトルが向いて、大きく近代化に乗り遅れることはなかったのではないかなと思います。でも、元代は海に対する意識がおしなべて低いので、本があっても駄目だったかもしれませんが・・・。そもそも、清代は末期はともかく中期は世界一の繁栄を誇った国家ですし、あまりの穏やかさに外へなにかを求める必要がなかったのかもしれません。それはそうと、劉大夏は田中芳樹が盛んに中国史上最低野郎の一人として挙げていたので、なんとなくその名前自体には親しみが沸くとともに、どんな本であれ燃やすのだけはぜえええええったい駄目だという意識、ひいては言論の自由の尊さを学んだことを久々に思い出しました。本にかぎらず、なんでも受け取る人の意識次第ということでしょう。
 なにはともあれ、この本は中国近代史入門にはオススメの一冊です。歴史年表片手にいろいろ調べながら読むのも一興、他の本で予備知識を仕入れてからだとさらに楽しく読めると思います。

狼と香辛料

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完全別ルートから複数の推薦があった場合には優先順位をASAPに変更する自分ルールにのっとり、一気に4巻まで読みました。
 予備知識では、剣と魔法の変わりに債権と通貨が乱れ飛ぶとのことでしたが、確かに行商人をテーマにした作品(しかもジュブナイル)となると、まず記憶にありません。しかしながら、読んでみると良く言えば違和感が無く、悪く言えば意外でもなかったというのが、行商人というテーマに対する感想です。最新の4巻ともなるとすでに行商がメインではなくなっているので、作者にもさほど強いこだわりがあるわけでもなさそうなので、それはそれでOKなのだとおもいます。
 この作品の主題は、長らく孤独だった行商人が道端で拾った狼娘とダラダラとイチャつく様を、目を細めて見守るものらしく、物語にはオチがありますが、ホロとロレンスはオチもなく延々とベタベタしてます。長年生きている賢狼で小憎たらしい反面、見た目が反則的に可愛らしい狼娘と、そこそこ優秀な商人なのに、それ以外の部分には初心で不器用な男との無害な掛け合いこそがこのシリーズの見所なのだとおもいます。
 現時点では最高とは言い難いものがありますが、今後このまま終局へまとめるのか、それとも風呂敷を広げるのか、あと2-3冊くらいで結論がでそうな雰囲気です。そこそこ人気がでているので、このまま無難に折り合いをつけてもいいとは思うのですが、突き抜けるために戦略目標の大幅転換を期待してます。あともう一点。そろそろホロは変身しなくても良い展開にならないものかなぁと。最後には人外の力を借りているようでは、せっかくの行商というテーマが陳腐になってしまう気がします。変身も毎回というわけではないのでこの点に関しては期待できそうなのですが、最近はホロが賢狼だということを忘れている読者も多からんことと思いますし。
 と、いろいろネガティブなところが少なくないものの、全体を観れば新刊即読リスト入りするだけの面白さと、期待感があります。人に勧めるにはあと1撃なにか欲しいところなので、兎にも角にも今後に期待です。筆者は大学院の修論の片手間で書いたらしく、まだまだ全力ではないというか余力を感じさせる部分が多分にあるの点こそ最大の好材料でしょう。

待望のFate/Zero 第二巻です。

一巻の仕上がりからして最大級の期待を込めていたのですが・・・
それすらも上回るほど面白かったです。これでまだ残り二冊もあるというのですからたまりません。

この巻を読んで大きく変わったのがギルの評価で、本編では出番過多のちょっと目障りな脇役くらいにしかおもっていなかったのですが、評価は一変して好意的というか、キャラクタに筋が通ったように思えます。

それもこれも、イスカンダルのおかげなんですけれどもね!

ディルムッドもなかなか味のある、まさに「騎士」であって好感がもてます。が、相手が王じゃただの騎士では役者不足です。前半はがんばりましたが後半は呑まれてます。水銀おじさんもまぁまぁで、コンテンダーな人もそこそこカッコ良いのですが、アレを観た後では「ちいさい!ちいさぃのぉ!」とかるーく笑われてしまうことでしょう。

この巻は、きっと決算前後でつかれたみんなをイスカが励ましてくれるものなのだと思います(笑)
熱砂の平原に比べたら、この世はかくも穏やかなところです。

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