本: 2010年9月アーカイブ

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フルメタル・パニック!の長編最終巻を読み終わりました。
完結まで12年の月日というものは、学生の時分に読み始めた人間が中堅サラリーマンになるくらいの月日だと思うと、やはり長い月日と言って良い期間ではないかと思います。その長い期間、作品のクオリティはともかくとして方針を定め、一貫したテーマを追求し、ストーリーを完結させたこと。そのことのみでも十分に讃えられるべき行いであり、著者に敬意を抱きます。途中で読むのをやめていた期間(ワンマンフォースあたり)もあり、作品として無論つまらなくはないものの、なんだかなぁと思うことも少なからずありました。また、この結末もどうなんだろうと思うところもあるわけですが、長い月日をかけた作品を完結させることができる作家は意外なほどに少ないもので、初志を貫徹させたことによる評価は多少のクオリティ低下など飲み込んで余りある偉業であると私は考えます。
ライトノベルやジュブナイルと呼ばれる作品の常としてご都合主義や目に余るキャラクタ設定などのエッセンスも盛り込まれていながら、それでいて華美にならないところ。飾るべきところは飾っても、根底にある泥臭さや虚しさ、憐憫、悲哀など負の感情を大切にしているところにとても好感が持て、最後まで読む気になったのも完結させるという著者の強い意思とともに、作品の装飾面におけるバランスが過度に逸脱しなかったところに因るのではないかと思ってます。

人に薦めることはまず無い作品ではありますが、個人的には短編も含めてたまーに思い出したように読みたくなることがある、そんな作品です。現在この作品の著者は他のシリーズを模索しているとのことなので、機会があればとりあえず1冊は読んでみたいと思ってます。

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