本: 2008年8月アーカイブ

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図書館の予約システムに予約を入れて1ヶ月あまり、ようやく取り寄せ完了メールが来たので読んでみました。

読み始めから他の伊坂さんの作品のように、ちょっとユルい日常の描写から、ちょっとだけ普通の人間からズレた異能、異質が現れて・・・と、言葉にしてしまえばマンネリっぽいのですが、どの作品も背景がまるで異なるせいか、あまりそのような印象は受けませんでした。
この作品は2年前と現在の物語が交互に描かれて、少しずつ謎がとけてゆくという構成なのですが、最初はそもそも何が謎なの?というような、およそミステリーとは思えない描写ばかりでした。その中で徐々に物語りのボルテージが上がっていくような、ちょっとした描写が実は大きな複線であったりと、少しずつ過去と現在が重なって全体の形が浮かび上がってきますが・・・ 実はそれがフェイクだったりと、中盤以降はなんとかミステリーと言えるような展開になってきます。
ネタバレしてしまうとつまらないので詳細は省きますが、読み終わった感想としてはおもしろかったけれども、スマッシュヒットではないなぁということで、読み始めたら最後まで読みたいと思える反面、読まないと眠れないというほどの強烈な魅力があるわけでもなし、物語にしても然り、面白いのだけれども一気に盛り上がるわけでもなく、過去と現在が細切れになっているのですぐにキリの良いところまで到達することから、特に序盤は少し読んでは中断し、またちょっと読んでは中断し、なかなか読み進みませsんでした。この傾向は、伊坂さんの他の作品にも共通することです。安心して読めるけれどもスマッシュヒットは望めない、シングルヒットと出塁率が持ち味のアベレージヒッターのような作家さんだなぁと思いました。
3冊ほど伊坂さんの作品を読んだので、しばらくはいいかなぁというのが今の気持ちですが、重力ピエロとギャングシリーズは機会があったら読んでみるつもりです。

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