フルメタル・パニック! アナザーは、とりあえずフルメタルパニックの名前が付いているということで惰性で読んでいましたが・・・ 最後までおもしろく無かったです。
いつかはおもしろくなるだろうと期待して12巻まで読み終えましたが、最後までなんだかなぁという低調な作品で、素晴らしいメカデザインに比して物語がこれじゃがっかり過ぎるというのが最終的な評価です。
ネガティブな感想を書くくらいならなにも書かなきゃいいのにと思われるかもしれませんが、わずかな期待に賭けて12巻まで付き合った挙句駄作であった悲しみは、一度どこかで発散させておかねばならないという、デトックス的な意味合いを込めた投稿と思っていただければと思います。
さて、この作品は具体的にどのあたりがダメなのかというのを少しだけ掘り下げてみると、
・ストーリーが陳腐
・設定にいろいろ無理がある
SF作家の笹本祐一氏のTweetを引用させてもらうと、
「ほとんどの場合、「リアリティがない」「辻褄があってない」からつまらないんじゃなくて、楽しめないから「リアリティがない」「辻褄が合わない」ところが気になって来ちゃうんです。だから、リアルにして辻褄合わせたところで面白くはなりません。」
まさにこれです。
本家フルメタも無茶な設定でもおもしろかったのは、先述の主張からするとおもしろいから辻褄が合わなくても気にならないということであり、確かにその通りだと思います。(でも、アナザーよりははるかに本家のほうが「それっぽい」と思います)
アナザーは主人公がほぼステレオタイプなエロゲの主人公で、最終決戦の決まり手までほぼ予想通りというのがもう、なんというか、ここまできてこれかよ!というか、もういいですw
たぶん最後まで読んだのは、1巻だけはちょっとだけ「おっ?」と思ってしまったのと、いつか軍曹のその後の進路がちらっとでも明るみになるのかな?という期待だったのではないかというのが個人的な結論となるでしょう。
本家では、マデューカスの操船シーンとか、メリダ島最終決戦の軍曹の説得とか、最後のSDカードの内容とか、設定に無理があってもそれでもなお印象に残るシーンがいくつもあったのに(全部まだ映像化されてないのですが、どうやらプロジェクトが再開したらしい)、やはり作者が違うともう、別のものと考えざるを得ないということなのでしょう。
そういえば七都市物語も田中芳樹が書いてる部分はめっちゃおもしろかったのに、その後の別の作家が書いた派生ストーリーは駄作以下でがっかりしたのをいまさらながら思い出しました。
結局のところ、題材は二の次で結局は書き手の能力如何だという事実を再確認し、(そして題材からパスしていた賀東氏の甘城ブリリアントパークを読んでみる気になりました。)小野不由美、盛岡浩之、佐藤大輔、冨樫義博、平野耕太、田中芳樹(田中さんは最近劣化が激しいので概ね諦めがついた)、あたりの方々には、仮に遅筆であっても駄作を量産されるくらいなら死ぬまで待ち続ける方がまだマシであるというある種の覚悟を持った次第です。
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