2015年8月アーカイブ

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話題の作品。前田有一さんの超映画批評で100点。物語の主人公にしか思えないけれども実在した人物、クリス カイルさんの自叙伝をクリント イーストウッドが映画化した作品です。
映画館に観に行くつもりでしたが、相変わらずの出不精で見逃してしまいDVDで鑑賞となりました。
ネタバレしてどうこうという作品でもないので、そのまま作品の内容に触れておりますので、これから観るからネタバレ勘弁!という方は、速やかに避難してください。

 さて、この映画は戦争を美化した映画なのか、それとも反戦映画なのか、鑑賞する前から様々なコメントを目にしてきました。それを踏まえて私の結論としては、「観る人によりけり」としか言いようがありません。クリス カイルさんの現実にあった英雄と言って差し支えない経歴は、この映画でとりたてて美化しているとも思えませんが、それでも圧倒されてしまうほどのものでした。お国のために奉職している軍人さんに憧れる人がいても全く不思議ではないという点で戦争を美化しているという意見も出てきて当然かなとは思いました。一方で、反戦映画としての側面は、従軍経験が原因のPTSDに蝕まれ、日常に復帰できなくなるほど心が弱ってしまい、最後は同じ従軍経験によるPTSDに罹患している者に射殺されてしまうことが最たるもの。従軍している本人だけでなく、家族が疲弊してゆく様は戦争の救いの無さをよく表しています。もっとも、それはこの映画に限らずどの戦争映画にも共通することではありますが。
 肝心の映画の出来としては、さすがの出来としか言いようが無く、最後まで緊張感を維持したまま全く飽きずに鑑賞できました。むしろ緊張感が続き過ぎて、体調に難があったり心が弱っているときはこの作品を観てはいけないとさえ思います。露骨な怖がらせてやろうとする描写は全く無いのですが、逆にそれがリアリティを伴い精神に影響が出るかと思うほどです。

個人的には必見!と言いたい作品ですが、戦争映画があまり好きではない人にまで勧められるものでは無く、万人受けするとも思えません。(気の弱い人ならかなりショックを受ける作品であり、それゆえのR15というレーティング付きなわけです。)
が、すくなくとも長らくサボっていたBlogを更新する気になるほどには心を動かされた作品であり、私がここ数年で見た映画の中では間違いなくトップクラスです。

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