2013年5月アーカイブ

Podcastで聴いているザ・ボイスで勝谷誠彦氏が「めちゃくちゃ面白い」と絶賛していたこの本。勝谷誠彦氏は突っ込みどころが多く、私個人としては思想的に親近感を抱くような人では全く無いのですが、近所の本屋で平積みにされていたのでのんびり読もうかね... と買って読んでみたところ、さほど目新しい話題は無いもののよく整理されており、一気に最後まで読み終えました。

韓国に大して強烈なヘイトがあるわけではないものの、経済とスタクラ2の試合観戦以外ではあまり関心が無い(露骨な反日活動をウザいとは思っているが...)身としては、変に偏った嫌韓思想の本だったら楽しめないなぁなどと心配していたのですが、実際にはさすがに悪韓論というだけあって嫌韓が滲んでいるものの、なるべくフェアな考察をしようという意思も感じられ、そしてなにより韓国経済に理解を深める為にも有益な本であったと思います。

特に印象に残った点としては
・実は訴訟が非常に多い国であった。(しかし公平な裁判はあまり期待できないらしい)
・事あるごとに恩赦を行い、人口5000万の国で恩赦対象が650万人。異様なまでの犯罪率。
・福島の原発事故後で比べても、ソウルの大気は仙台の2倍ほど放射性物質濃度であり、韓国人女性の甲状腺がんの発症率は日本とくらべて14倍
・韓国のアングラマーケットはGDPの3割規模。(そして家計負債の増加で崩壊の危険性)

最後のアングラマーケットについて、中国ではアングラマーケットが膨張を続け、かのジョージ・ソロスがサブプライムローンのマーケットと類似点が多いと警告しているという日経の記事は読んだことがあります。が、韓国も状況が似通っているというのはあまり知らなかったので(主にかの有名な住宅システム「チョンセ」の運用先らしい)、家計負債の増大と合わせて注視すべき問題だなと心に留め置いた次第です。

一方で、やたらと韓国の美容整形を儒教国家にあるまじき所業で悪事であると断定しているところに他の項とくらべて偏見を感じました。美容整形は個人が自分の責任の内にやるのであれば、誰に迷惑がかかるものでもなし批判に値するとは思えません。儒教国家ではないという結論に導くための1要素として扱っているようで、美容整形への批判はアンフェアなように思えました。もっとも、韓国が儒教国家というのは間違いであるという本筋の主張に関しては、特に異論はありません。

すこし前まではこの手の本を読んだだけで差別主義者などとレッテルを貼られそうな時勢でしたが、近頃はすこし風向きが変わってきた(韓国の反日政策が今まで以上に露骨になってきたから?)ように思えます。以前よりいわゆる特定アジアに対して、日本はやたらと気を使い世論を操作してまで彼らの悪事や反日政策を隠す傾向がいまでも続いているのが不思議でなりませんでした。すこし前にNHKで日常会話に韓国語が溶け込んでいるなどという仰天ニュースがまことしやかに報道されているのを見た時は、なぜにそこまで韓国プッシュなのか理解に苦しみましたが、それらも徐々に是正される方向に進んでゆく兆しが見えます。
いわゆるネトウヨと呼ばれるような連中の幼稚な感情論は論外としても、明らかに偏った報道は国益を損ねているはずなのに平気でまかり通っていること。それらが劇的に解消されるとは思いませんが、少なくとも公平な視点ですら右翼判定されてしまうような空気が払拭されれば良いなと思います。
この本自体は新書なのでボリュームも控えめであり、さらっと読める程度です。冒頭にも述べた通り、普段から新聞に目を通している人であれば目新しい話題が少なく感じるはずですが、そうであっても読んでみればなかなか痛快な書籍と言えるでしょう。

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GWに溜まったDVDやTV録画の番組を消化しようと見始めた作品の一つですが、それなりに長いストーリーにも関わらず早送りを一切使わず楽しめた作品です。
近未来SFでシステムが人間を管理する都市の公安警察が猟奇殺人犯に挑むストーリーで、同時に新米の小娘がタフな警官になってゆく様を描いています。ストーリーの進行が早くて中だるみも無く、主要キャラの人命にも容赦が無くて、かつよく有りそうな設定なので世界観に関する説明が最低限だけど、事件に関わるあたりから掘り下げてゆくという構成の妙が飽きなかった要因だと考えられます。
全話見終わった後に、構成が攻殻機動隊SACの1stシリーズにどことなく似ているなと感じたのは、主人公の常守朱と草薙素子こそ全く似てないものの、SACの1stシリーズでパズやボウマに殆ど活躍の場が無かったように、六合塚や縢もいいところが全然無かった点でそのような思いに至ったのかもしれません。
いずれにせよそこそこ面白かったので、DVDが最後まで出たら観てみるのも一興かもしれません。

荒川強啓のデイキャッチで絶賛されていたフェルナンド・フォン・シーラッハの本、「コリーニ事件」と「犯罪」を読みました。
「コリーニ事件」の内容としてはいわゆる法廷モノで、新米弁護士が国選弁護人として初めて引き受けたチョロいと思った仕事が、実は若いころに世話になった資産家のおじいさんが被害者な上にとても重たい事件だったからさぁ大変!というもので、ボリュームはかなり軽めの一冊でした。
「犯罪」は短篇集で、一般の人間がどう犯罪者になってゆくのかというのをテーマにした作品で、こちらも短編な上に一つ一つの作品がとても短く、あっというまに消化できる一冊です。

双方とも文体はやや固く、そして無駄な描写が少なく、展開もかなりスピーディーで、こういうところに質実剛健なドイツっぽさを感じてしまうのですが、これがシーラッハさんの作風なのか、ドイツ小説全般に言えることなのかは判りません。
個人的には法廷ものの作品であるのならば、無駄な装飾でダラダラと進行するよりはこういうあっさり、かつスピーディーな展開の方が好みに合致するので好意的に評価していますが、一方で若干の物足りなさを感じるのも事実です。
法廷ものということで、比較対象は「半落ち」とか「13階段」あたりなのですが、それらに比べると2枚ほど落ちるかな・・・というのが個人的な感想です。
あっさり読めるということで、電子書籍で読めたらいいのになと思ったのですが、海外の翻訳本とものなると、そのあたりはあまり期待できそうにありません。内容自体は重たいですがあっさり読めるので、古本屋で見かけたら軽い気持ちで買ってみるのもアリかなと思います。

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