荒川強啓のデイキャッチで絶賛されていたフェルナンド・フォン・シーラッハの本、「コリーニ事件」と「犯罪」を読みました。
「コリーニ事件」の内容としてはいわゆる法廷モノで、新米弁護士が国選弁護人として初めて引き受けたチョロいと思った仕事が、実は若いころに世話になった資産家のおじいさんが被害者な上にとても重たい事件だったからさぁ大変!というもので、ボリュームはかなり軽めの一冊でした。
「犯罪」は短篇集で、一般の人間がどう犯罪者になってゆくのかというのをテーマにした作品で、こちらも短編な上に一つ一つの作品がとても短く、あっというまに消化できる一冊です。
双方とも文体はやや固く、そして無駄な描写が少なく、展開もかなりスピーディーで、こういうところに質実剛健なドイツっぽさを感じてしまうのですが、これがシーラッハさんの作風なのか、ドイツ小説全般に言えることなのかは判りません。
個人的には法廷ものの作品であるのならば、無駄な装飾でダラダラと進行するよりはこういうあっさり、かつスピーディーな展開の方が好みに合致するので好意的に評価していますが、一方で若干の物足りなさを感じるのも事実です。
法廷ものということで、比較対象は「半落ち」とか「13階段」あたりなのですが、それらに比べると2枚ほど落ちるかな・・・というのが個人的な感想です。
あっさり読めるということで、電子書籍で読めたらいいのになと思ったのですが、海外の翻訳本とものなると、そのあたりはあまり期待できそうにありません。内容自体は重たいですがあっさり読めるので、古本屋で見かけたら軽い気持ちで買ってみるのもアリかなと思います。
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