クライアントとの雑談で何を思ったかハートマン軍曹の話題となり、私も控えめにハートマン軍曹紡ぎ出す海兵隊式話術の語彙のすばらしさについて賛同の姿勢を示しました。しかしながら、他の人たちはまずキューブリック監督ありきという立ち場で語っていることが分かり、クロックワークオレンジをもの凄い勢いで薦められたので、まぁ観てみました。
7~80年代のレジェンド級作品は、ブレードランナーであったりカッコウの巣の上であったり、なんだかあまり面白く感じなかったので、正直あまり期待していなかったのですが・・・ 思っていたよりは退屈しなかったです。ただし、面白いというのとはちょっと違うかなとも思いました。
とにかく映像が強烈で、主人公のアレックスのグロテスクなまでの奇行とあわせて目が離せないという感覚が事実に近く、作風はかなり違いますが、「からくりサーカス」のテラーパートを読んだときと同じ感じがしました。(もっとも、からくりサーカスは少年誌なだけに熱血成分も大量に含まれていますが)
あくまで個人的な見解ではありますが、この作品を他人に勧める感覚は理解しがたいものがあります。作品のテーマとして社会風刺や全体主義批判があるようですが、私にはこの作品はまず「狂気」ありきだと受け止めました。序盤など有り体にいえば押し込み強盗シーンばかりですし全体的に映像がグロテスクなので、ダメな人は序盤でギブアップ確定でしょう。(ガマンして観つづけると、もっと酷い有様ですから!)
というわけで、FMJのようなステキ軍曹が出てくるわけでもないので、無理して観る必要は無いとおもいます。ただ、キューブリック監督を識る上では避けられない作品であることもまた事実なのでしょう。
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