東野圭吾 「殺人の門」

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先週読んだ白夜行がスマッシュヒットとなった東野さんの作品をまた読んでみました。
今回の殺人の門は白夜行とくらべてボリュームは約半分といったところでしょうか。やや長めなれど一般的な厚さの本で、序盤から読みやすい本でした。が・・・

白夜行のスマッシュっぷりにくらべると、序盤から中盤の盛り上がりは面白かったものの、終盤の展開がなんかこじつけというか、無理矢理というか、さすがにこの外道っぷりはちっとなぁと思う展開と、主人公のあまりの悲惨な様に最後の方は同情してしまいクライマックスで盛り下がってしまいました。十分おもしろい作品だとはおもいますが(すくなくとも途中で読むのをやめようとはまるで思いませんでした)、スラッガーのフルスイングが三遊間のゴロでシングルヒットになったというくらいの威力で、期待ほどではなかったけれどもつまらなくは無いよという評価が妥当なように思えます。
この物語は主人公が人生のほぼすべてを幼なじみの口先で踊らされるという個人的に好みではない展開なので、ちょっと評価は辛くなりました。主人公が良きにしろ悪きにしろ愚直な人間で、そういう人間が報われないどころか積極的に踊らされるというのが、自分の中ではまるで納得できない部分でした。主人公も優柔不断かつ短絡的な為人なので、途中までは踊らされるのも仕方がないのかなぁと思わないでもなかったのですが、最後の方の借金を背負わされたりやっかいな人間を押しつけられたりされた上でどの場面でも救いがまるでないことから、外道エッセンスが若干濃すぎたように思えます。

読みやすさと言う点では悪く無い評価ができますが、少なくとも東野圭吾さんの作品一発目としてコレを選択するのは控えた方がよいんじゃないかなぁと思いました。そして、白夜行の瞬間風速が高すぎただけなのか、それとも東野圭吾さんの作品群は玉石混淆なのか、あともう2-3冊消化してからの判断となることでしょう。

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このページは、が2009年5月 9日 02:08に書いたブログ記事です。

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