アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」

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実は未読でした。
ヘミングウェイは「武器よさらば」の影響か、硬い恋愛小説家というイメージがあったのですが、この作品を読んで、ハードボイルドの原型と評価されているということについても得心がゆきます。
老人の気骨に溢れたカジキとの格闘、そして老いを象徴するかのような帰路。そして港に着いてからの哀愁であったり、冒頭から老人と対比するような少年の若さと、その労りを素直に受け取れない反骨心など、老人の心の葛藤が胸に響く作品でした。
経験上、アメリカ文学の名作は、当たり外れが大きいと思っているのですが、原因は訳によってどうしようもなくつまらないものになってしまうことだと考えています。(私はフィッツジェラルドで痛い目に遭いました)その点、福田ツネアリ氏の訳はカジキとの格闘シーンで道具の名前がはっきりしないように思えた以外は概ね良好なのではないかと思います。もっとも、原文を読むだけならともかく、訳との雰囲気の違いを感じ取れるほど英語が堪能なわけではないのですが・・・
アメリカ文学は学生の頃にスタインベックの対訳本で英文の訓練をしたことから割と馴染みが深く、いろいろと手を出しているつもりでしたが、じっくりリストを眺めてみれば、超がつくほどメジャーな作品でもまだまだ味読ばかりです。一人の人間が一生のうちに読める本の量を考え出すと切なくなってしまいますので、健康に気を使い少しでも長生きして少しでも多くの作品に触れてゆきたいと思ったGWの夜でした。

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このページは、が2008年5月 6日 03:36に書いたブログ記事です。

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