藤崎竜で屍鬼!?

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最近創刊されたらしいジャンプスクウェアで、小野不由実先生の屍鬼のマンガが新連載としてはじまったそうです。すっご驚きました。

まずは小野先生。好きな小説を10個挙げろといわれたら8つあたり選んだ後、強烈に悩むのですが、1つだけ挙げろといわれたら現時点だと即答で「十二国記」と応える私にとって、まさにネ申認定の作家さんです。まったく続編がでなくて思うようにならないあたりが神性をさらに高めている困った御仁であり、近頃は悟りでもひらかないと続編を待つのは無理だとおもったりおもわなかったりです。
無論、屍鬼も読んでいますが、登場人物がボリュームに比して異様なほど多いので、マンガには極めて不向きだと思います。最近の寒村サスペンスブームに合致している点でいまさらながらマンガになったのかなぁとも思うのですが、それだけでチョイスしたのならば些か浅慮に過ぎると言わざるを得ないでしょう。

そして藤崎竜。とてつもないセンスを感じるのに、その方向性があまりに一般的なストライクゾーンとかけ離れている上に独自の世界観を頑なに貫き通してしまうので、なかなか作品が軌道に乗らない印象があります。好意的に評価すると哲学的かつ暗喩的ユーモアに富んだスケールの大きい作品を得意としている漫画家ということになります。作画も(特にあの大きな足が好きだ!)ナンセンスかつ深遠なストーリーテリングも味があるとおもうのですが、客観的に見ると難解で独りよがりで大風呂敷を広げたがる作風だよね…ということになってしまうのでしょう。

この二人の共通点は、話の加速が非常に悪い点。小野先生は小説家なのでそれも許されるのでしょうが、藤崎さんは好き勝手やらせれば高確率で大作を仕上げる力があるのにもかかわらず、加速が遅いせいで数度の打ち切りを食らっていることからもわかるように、漫画家としては致命的な弱点と言えます。
いうなれば風力特性の悪いボディーに低速に弱いエンジンを乗っけて、ターマックの難コースに挑むラリードライバーのようなものでしょうか。少なくとも屍鬼は途中でソフトランディング(打ち切りともいう)できるようなポイントが無いので、最後まで踏破するか明らかな形でリタイアするか、それ以外考えられません。きっと最後まで描ききれば良作以上の出来に落ち着くとは思うのですが、創刊したばかりのマンガ雑誌がおもしろくなってくるまでにどこまで我慢できるか、まずは半年過ぎたあたりに山場がありそうな予感です。

初回の掴みは・・・ やはりというべきか「加速の悪さ」を感じずにはいられませんが、これはストーリー上仕方が無いので問題は次の号からどれくらいのページ数で掲載されるかということ、それに尽きるでしょう。あのページ数の2/3も維持できれば希望はあるのともうのですが・・・ おそらくそのペースは厳しいのではないでしょうか。
原作者にも漫画家にも思い入れがある作品なので、なんとか完結まで持ちこたえてくれると良いのですが・・・ 好材料としては、藤崎さんの作品は細切れにすると訳がわからなくなるので、週間ペースより月間ペースのがしっくりきそうな気がする点と、円満完結した封神演技とおなじく原作アリの作品なので、暴走する心配がいらなさそうな点の2つ、心許ない材料ではありますが、今後の活躍をおおいに期待しています。

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このページは、が2007年12月20日 21:24に書いたブログ記事です。

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