本多孝好 「Missing」 

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初夏、良い季節の到来とともに、私の仕事も過酷さをより一層増し、ついに連続20連勤を超えましたがまだまだ元気です。と、やせ我慢するのも、この後の18連勤が確定しているからです。空いているからという理由でお盆にまでスケジュールを入れるのは勘弁してくださいってば(涙)

そんなこんなで夏の不快さばかり未に受けているのも勿体無いので、夏っぽい読み物を・・・という理由から本多孝好さんのMissingを選びました。
5本の短編が掲載されていて、内容は特に夏限定というわけでもないのですが、読んでみると所々夏を感じる妙な本です。カテゴリーでいうとミステリーなのだそうですが、この本、さまざまな生死感を話に沿って展開してゆく作風で、一見重くなりそうなところなのに妙なほどさわやかな独特の雰囲気がありました。

どの短編も質の高いものだとは思いますが、特にお気に入りは「瑠璃」で、この作品は夏テイスト満載です。一部引用すると
「夏はどうしてこんなに気持ちいいのでしょう?」
「気持ちのいい季節を夏と名付けたから」

ここだけ見ても、ただの夏テイストの一つにしか思えないのですが、読み終わってからこの場面を思い出すと、すっきりとした切なさ(笑)が味わえます。全体を通して人生、特に死について深く掘り下げているのに、読んだあとにすっきりとできる本はそうざらにはありません。

暗いテーマなのに負の感情が後引かない。重いテーマなのに読みやすい。迂遠な表現が多いのに理解に苦しまない。
絶妙のバランス、良書です。

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このページは、が2007年7月31日 21:30に書いたブログ記事です。

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