この本は、熊本県の地域冊子で紹介させていたのを何かで見かけ、その直後に県立図書館でばったり出くわしてしまった曰く付きです。特に運命や何かの予兆を感じたというわけではありませんが、偶然の出会いは本でも人でも大切にしようということで借りてみました。
著者は最近まで熊本県の副知事を務めていた方だそうで、熊本での生活の記念に書かれたとのことです。記念に執筆とはなかなか粋なことをする人がいるものだなぁと思いましたが、熊本県というより砥用の日本一の石段を舞台としたお話で、あまり記念色が強くなくかえって好感がもてます。
内容は、家庭崩壊に瀕した父と子が日本一の石段を登りながら己が半生を振り返るというもので、有り体に言って石段に上ると言う奇特な行動以外はそこらじゅうにありふれている話と言えるのですが、ステレオタイプな父と引きこもり小僧はともかくとして、突き抜けた信念を持った母の思い込みの激しさと意思の強さがそこらのものとは違う点でしょう。死期を悟って(しかも勘違い)断食を行い、餓死することを選択する主婦は現実にはともかく、お話の中にもなかなか遭遇できません。
この本はお話として面白いわけでもためになるわけでもないのですが、砥用の日本一の石段(3333段)に挑戦する前に読むと、それなりの覚悟を決めて挑まないと危ないよ!という物語の主筋とはあまり関係の無いところに読む意義を見出しました。熊本に住んでいる以上、一度くらいは日本一の石段にチャレンジしてみたいと思っていたのを久々に思い出しそのうちいってみようかなぁという気にはなったのですが、日本一の石段に興味の無い人にとってこの本は退屈極まり無いものでしょう。
御坂遊歩道は登ってみたいと興味はありつつ、それについての小説があるとは驚きでした!
やはり熊本に住んでいるならそこの日本一のものに挑戦してみたくなりますよね。
水源があったりなのであたたかい春の、これからのシーズンは狙い目かも。桜もきれいと聞きますし。
>タマコさん
熊本市が地元の人だとだいたい1回はチャレンジしているみたいですよ。
会社の同僚は全員登った経験があるとのことでした。もしもチャレンジするなら、すこしは準備をした方がいいと脅されてしまいました(笑)
やっぱりそうとうキツいらしいです。