吉野源三郎著 君たちはどう生きるか

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本のレビューサイトを見ているとこの本をベストの作品の一つとして挙げているサイトが多数あったので、前々から読んでみたいとおもっていました。初版が戦中の1937年と70年前の作品なので古本屋でみつかるだろうとタカをくくっていたのですが、とうとう我慢の限界に達しアマゾン召還した次第です。

予備知識の段階で、すでに手元においておきたいと思わせるだけの雰囲気のある本だったのですが、確かにこの本は買って悔い無しです。中学生の通称コペル君の成長を通して、自分と見つめ合うことの大切さをわかりやすく丁寧に説明するという内容なのですが、人生において忘れてはいけないことを凝縮させたような重みがありました。過去の苦い経験の記憶が普段の生活では完全に忘れていてもふとしたきっかけで突然よみがえってくることがありますが、そのときの苦い思いは向き合って消化しなければならないことであり、またその経験の大切さについてコペル君が考える過程に強く共感するものがあります。
だいぶ前にソフィーの世界という本がありました。あちらはソフィーを通して哲学を学ぶというものだったとおもいましたが、こちらはコペル君を通して倫理を学ぶ本であると言えるでしょう。これが戦中に書かれたというのは本当に驚きですが、帝国主義にかぶれた当時の日本の中にも良識をもった人間がすくなからず存在したというのは、その後の日本にどれだけの財産になったでしょうか。初版から70年を過ぎた今も岩波文庫のランキングをやると必ず上位にランキングされるということから、筆者の吉野源三郎氏の偉大さの一端を見たように思えます。

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このページは、が2007年1月14日 21:56に書いたブログ記事です。

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