魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 を読んでみた

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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 は、最近書籍化もされた有名なWeb小説らしく、あまり詳しいことは知らなかったのですがアキバBlogさんで以前取り上げられていたのを思い出して何の気無しに読み始めてみました。

結論から先に述べると、個人的にこういうストーリーはキライじゃないものの、内容は割と硬派なのにアンバランスに砕けた表現が多く、「惜しい!」と言わざるを得ない、読む価値はそれなりにある良作です。
ストーリーは魔王と勇者が手を組んで地上と魔界の民を救うという、ちょっとひねりは入っているものの王道と言えるものであり、魔王が魔術師で勇者が育ちきったHeroユニットという位置づけのマスターオブマジック(さすがにMOMを知っている人は同年代以上の世代だろうな・・・)と思ってもらえばほぼ世界観は把握したも同然であり、アルカナスとミロールが地上と地下世界に相当し、支配者同士がいきなり大敵関係というわけではないものの、氏族にそれぞれ魔術師(これはどちらかというとCivの指導者に近い)がいて、いろいろとしがらみがあるという設定です。というか、この作品はかなりMoMの影響を受けているんじゃないかと思しきところが多数あり、(支配者の塔っぽいのがでてきたりする)MoMが好きなら創作小説と思って読んでも楽しめるのではないでしょうか。私が嫌いじゃない(つーか、あえていうなら好きかもしれぬ)理由はMoMの世界観に一時期おもいっきりハマった名残りという意味合いが大きいので、やや評価は甘くなっているかもしれません。
また、とかく戦争に寄りがちなこの手の小説で指導者たる魔王が経済や外交や宗教政策や農業改革にスポットを当てて、戦闘行為を最小に抑えながら最大の効果を得るために様々な手管を駆使しそれに共感して次から次へと人材が生まれてくる様は、派手さが無いのに爽快感のある、なんとも不思議で好感の持てるストーリー構成です。
いままでこういう小説が無かったわけではないとは思うのですが、これが無料で読めるというのであれば、なんだかけっこう特した気分にはなる、ちょっとした生き抜きにさらっと読むに調度良い重さの作品と言えるでしょう。

ちなみにイヤな部分というのは、冬寂王の執事とか、魔王と勇者と女騎士の幕間の茶番とか、魔王のメイドの立ち位置とか、本来なら硬い内容なのに場違いなギャグっぽい空気を出してしまい、作品の格調を明らかに落としている部分です。この作品は内容的にはもっと硬くライトじゃない本格ノベルとして通用するだけのポテンシャルが確実にあるだけに、とても残念かつ勿体無い部分です。著者からすれば格調など求めていないのかもしれませんし、経済政策や新しい技術の伝播速度など突込みどころが多数あるので、ソレをあまり深く突っ込ませないためのギャグ要素なのかもしれませんが、私にはそれらが無用のものに思えてなりません。

完成度という点においてWeb版はさほど完成されていない作品であるというのは事実ですが、個人的にはWeb小説というカテゴリでは高評価できるだけのクオリティがあると思います。完成度や文章の巧みさで言えばWeb小説だと和風Wizが今まで読んだ中では最高峰でした(あれはヘタな一般小説よりもよほど出来が良い)。それと比べてしまうとかなり荒削りという印象はありますが、時間があれば、さらっと2スレ分くらい読んでみてこの作品が合うかどうかのチェックをするだけの価値はあるのではないでしょうか。とはいえ、私は出版された小説版まで読む気はいまのところありませんが・・・

コメント(2)

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おっすー
俺も「まおゆう」はリアルタイムで読んでて
書籍もかっています。
いい部分と悪い(自分的に)部分があるけど
最後までなかなか目を話させないなにかがあったようにおもいます。
ただnecoと同じ意見で「おしい」が素直な感想だったり、、、、

うん、ストーリーの根幹はなかなか見所が多いのだけど、なんだかプライベートシーンを中心に枝葉の肉付けに失敗してる印象だね。しかし、Ramiも忙しそうなのに妙な物読んでるなw

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このページは、が2011年4月 2日 02:49に書いたブログ記事です。

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