この自由な世界で

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昨今、不況の真っ直中で失業率や求人倍率は2年前には考えられないような数値に突入しておりますが、海外で日雇い労働をテーマにしたこの作品がちょうど目についたので(そしてレビューも概ね好意的な意見が多かったので)観てみました。
舞台はロンドンの郊外。シングルマザーのアンジーが仕事をクビになり、ヤミの日雇い労働者斡旋所を自ら経営することになるお話です。EUの労働法で労働許可書が無い人に仕事を斡旋すると5年以下の懲役になるそうで、それに怯えながらも息子のジェイミーを育てるために斡旋をやめられないアンジーがだんだんとブラックな方向に突き進んでゆき、とにかく「貧すれば鈍する」を絵に描いたような作品でした。
やや短絡的で、ヒステリックかつエキセントリックなアンジーと、思慮深く安全第一な友人のマリーの対比が物語をシンプルにまとめているようですが、とにかくアンジーがもの凄い突撃野郎なだけに、マリーの手堅い(そしてしっかり成功する)面が地味な演出なのに妙なほど印象にのこりました。

結末はみてのお楽しみにしたほうが良いと思うのですが、かといってオススメ作品というにはいま3歩くらい足りなかったなぁと感じています。失業者、日雇い労働者問題に対する皮肉の色が強い作品ですが社会問題色は控えめで、焦点がぼやけているように感じられた点が残念でした。

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このページは、が2009年4月22日 00:12に書いたブログ記事です。

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