佐藤大輔 「平壌クーデター作戦」

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 佐藤大輔は娯楽小説作家として常に注目している作家のひとりではありますが、彼の作品には「完結しない」という致命的な欠点があり、いまだに皇国の守護者やレッドサン・ブラッククロスの続きを期待している者としては、憤懣やる方無い思いです。
そこでふと、最近はどんな作品を書いているのかな?という素朴かつもっともな疑問があったので先日図書館で蔵書をさがしてみたら、このなんとも不穏当なタイトルの作品が書架に鎮座していたので読んでみました。

 して、感想なのですが・・・ この本はストーリーを読む本ではなくて、「平壌でクーデターが起きる」というIF(というかジョーク?)を、それぞれの立場から面白可笑しく眺めたものの集積であり、ストーリーが無いわけではありませんが存在意義はほぼ無しと考えて差し支えないでしょう。だからこそ、極東の軍事地政学的なブラックジョーク本としてはかなり面白く読めました。
「ドラえもんなんとかしてよぉ、また@@@がミサイルをちらつかせてるよぉ」
「ステルス爆撃機ぃ。のび太くん、この爆撃機はね、レーダーに気づかれずによその国をたたきつぶすことができるんだ」
一部ではありますが、こんなノリが通用する作品です。
北朝鮮内の描写はもっとシリアスですが、アメリカの幕僚会議は概ねこのノリに近く、こういう温度差が妙にリアルだったりするわけで、この手のジョークがOKな人にならばそれなりに面白く読めるのではないかと思います。
1hそこそこで読み切れるボリュームなので、最近の(といっても5年前ですが)佐藤大輔の仕事に興味のある方ならば、まぁよんでみてもいいかなと思います。

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このページは、が2009年2月23日 22:48に書いたブログ記事です。

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