エンロン

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ドキュメンタリー映画のエンロンを鑑賞しました。
この映画はその名のとおり、最盛期にはUSでトップ10に入る企業であったエンロンが崩壊に至るまでのドキュメンタリーです。全容が解明された今ならば、その実態の無さになぜ気が付かなかったのかと思うのですが、エネルギー業界特有のデリバティブによるわかり辛い資金の流れと銀行までグルになった粉飾決算が合わされば、たとえ有識者であっても見破るのは困難だということでしょう。

ライブドア問題で堀江氏に実刑判決が下されたとき、私は厳しい判決なのではないかと評価しました。しかしながら、「エンロン」を観た今考えると、事の大小は比較にならなくても実刑はともかく有罪判決は妥当なように思えてきました。単純に考えた場合、決算報告を粉飾することにより実際の評価と比べて割高な自社株を買わせるという行為は、十分に詐欺であり、裁判の焦点はどこまで事実関係を把握していたかということらしいのですが、少なくとも企業のトップが「知りませんでした」で済んでしまったら無責任過ぎます。
また、エンロンを観て特に強く感じたことは、アダム・スミスの「富国論」でいうところの「共感を得る事業」という点に全く合致しないところで、企業買収ファンドや某人材派遣企業などを筆頭に「企業努力」というものからかけ離れた存在に対する胡散臭さというのは、そこに集約されるように思います。
今日の市場では金融のグローバル化、流動化により金融リスクの所在が判りづらい状態ではありますが、そういうときだからこそ、正しい会計の知識と実際の企業活動、資産評価が大切になってくることでしょう。これは何も投資に関する話だけではなく、自分の勤めている会社の健全性、取引先への与信評価など、実生活に密接にかかわってきます。人間は実態の掴みづらいもの、理解に困難を要するものに関する評価は、実生活に影響が出ない限りはついつい後手にまわしてしまいます。しかしながら、実生活に影響が出てくるケースのほとんどは末期的な状況であり、有効な対策、リスク回避は事前の察知と行動が不可欠です。真面目に働いてコツコツ溜めた資産が、無知ゆえに吹き飛ぶという事例が実際に起き得ることを考えれば、日頃の戸締りや治安の悪いところに近づかないといった防犯と同じレベルで、資産の運用と防衛も考えなくてはならないと感じました。

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このページは、が2007年10月 8日 23:49に書いたブログ記事です。

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