世代と倫理

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 先週のAERAのトップ、「学校の裏サイト」を特集した記事を読みました。なんでも、生徒間のケータイのみでURLがやり取りされている掲示板があり、そこには生徒の実名を記した匿名の投稿や盗撮画像がガンガンUPされ、プライバシーの問題を超えて人権侵害にも近いやりとりが為されているそうです。
 匿名投稿、子供の遊びでは断じて済まされないレベルの問題だと感じました。まだアイデンティティの確立もされてない子供が、正体のわからない悪意に晒されること。想像するだけで恐ろしく、現役当時の自分がそんな悪意に晒されることを考えても、耐えることはまずもって不可能でしょう。そして、より恐ろしいのは匿名による個人攻撃という醜悪な行為を、なんの気無しに行える環境を現役中高生が誰しも持っていること、これに尽きます。
 手段が簡単で、しかも自分でよほど無警戒でもない限り個人を特定されないのであれば、動機はどうであれ当事者は行為そのものの重みを知ることはできないでしょう。反面、客観的に見れば他の生徒匿名でを貶める行為は極めて醜く重いものであり、さらに対象の個人からすれば、やり場の無い怒りと底知れぬ恐怖に身を焼かれることになります。学校という幼い村社会で、この手の行為が野放図にされることは、本人たちにとっても社会全体にとってもマイナス要因にしか成り得ませんが、これらの対策に躍起になっているのは携帯キャリアであって、学校はともかく行政が動く気配はありません。携帯キャリアが躍起になるのは運営上のリスクから考えて当然だとは思いますし、学校側も特に私立であれば同様の運営上のリスクであることから何らかの対策を施すことでしょう。しかし行政は、どうでしょう。昨今の教育現場におけるいじめ問題や教師の倫理観の問題に対する姿勢からするに、よほど大事にならないことには調査すら行わないのではないかと思います。
 一方で、この問題への対策はさほど難しいこととは思いません。とどのつまり、罪の重さを知らない者に対して相応の報いを与えるだけで良く、軽犯罪に対する罰則強化と同じ道理にて対策可能なものだと考えられます。携帯キャリアが行っている携帯からのアクセス制限などパッシブな対策は地道なれど有効な手段ですが、抜本的とは言い難いものであり、それらは積極的な取締りと併用されて大きな効力となる性質のものでしょう。教育委員会の権限を強め、授業妨害やいじめに対する罰則を強化する方針はほぼ決まったようですが、その適用範囲をどこまでひろげるか、見えざる匿名の刃に迫れるか、興味深いものがあります。先には調査すら行わないのではないかと述べましたが、行政が方針だけではなく速やかに強化した罰則を適用し、また青少年犯罪の温床の芽を摘むに至るのであれば、これは大いに賞賛されるべき事柄となるでしょう。
 特に接点の無い現役中高生世代の話題が気になったかというのも、昨今の青少年犯罪や教育の報道を見かけるたびに、同情的な気分を禁じえないからというのが最大の理由です。少なくとも、10年前はここまで酷くなかった。いじめや少年犯罪が無かったわけではなく、社会問題として取り上げられることも少なくなかったですが、眩暈がするような醜悪さ、おぞましいと思えるような事柄はまずありませんでした。どちらかというと、無機質、無関心、ドライな人間性に対する批判の方が多かったかなと記憶しています。その延長線上に普段の生活からも実感をともなって感じる現役中高生のモラルの低下があるとするならば、ここらへんで歯止めをかけないことには確実に社会全体へ悪影響が波及してしまいます。なにせ国家の根幹の一つである教育における問題な訳ですから、問題は必ず次の世代に引き継がれ、社会全体の病となることでしょう。思うに、努力は報われ悪事は報いを受ける、正しい因果の巡る社会システムの構築が急務ではないでしょうか。(ここらへんの感覚では、安部総理の意見は共感し得るものがありますが・・・ 相変わらずぱっとしませんね)

 あと数年もすれば、彼らも現役世代になるわけで当然一緒に働くわけですが、それを考えるとモラルの低下は怖いような気がしてくるものの、私たちの世代が現役となったときも同じように上の世代は恐怖をおぼえていたようです。そして今となってはいつのまにか溶け込んでしまっていることを考えると、この問題はあまり深刻に考えても仕方の無いことなのかもしれません。
 ちなみに、表紙が蒼井優だったから読んでみたというわけではありません!(でも、インタビューは読みました)

コメント(2)

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俺が高3のときもあった。
当時はカメラ付きが少なかったから盗撮はないけど
誹謗中傷はあったかもしれない。
「〜先生の奥さんが実は綺麗」なんてのもあったw

まぁすぐに消えたけどね。

googleでフィルタ外してから探してみると、ごく一部なんだろうけれども見つかるね。
記事だけなら話半分のつもりだったけれども、実物は割としゃれになってないとおもった次第。

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このページは、が2007年3月27日 20:56に書いたブログ記事です。

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