蒼穹の昴

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浅田次郎の最高傑作と名高い蒼穹の昴、ようやく完読しました。前々から読むつもりではいたのですが、ハードカバー2冊の威圧感と、割と好んで読んでいる中国物とはいえ清の末期というあまりなじみの無い時代を舞台としていることからなかなか踏ん切りがつかなかったのですが、読み始めてからは完全にハマって一気に読んでしまったものです。
このお話は史実とフィクションをミックスした内容なのですが、主人公とサブ主人公扱いの李春雲と梁文秀は架空の人物です(モデルはいるらしいですが)。この二人の微妙な関係を軸に、史実の漢が暑苦しいまでに存在感を示しています。というか、主に李鴻章なのですけれども・・・
この将軍、物語を読み進めるうちに私の中では南宋の宗沢とキャラクターが被ってしまったのですが、こちらはなんといってもプレジデント・リー、将軍ではなく総督や執政官というイメージで、軍事は政治の一側面というスタンスがとってもクール。宗沢よりも各は3つくらい上だとおもいます。
あとは悪役として袁世凱と栄禄。特に栄禄は半端ではない腹黒さで、能力はたいしたことが無いものの怪物じみた欲望で清を食い荒らすのがまさに悪役の鏡です。袁世凱は言わずもがな、史実でも悪役ですがこちらでも悪役で、特に後半は腹黒栄禄と最強タッグを組んでブイブイいわせてくれますが、史実での彼の絶頂期までは描かれていません。残念なのは袁世凱のライバルとして創作された王逸がかなりお気に入りの人物だったのですが、活躍の場があまりなかったことでしょうか。科挙のあたりでは重要人物だったのですが、李鴻章の幕僚になってからは出番がめっきり減ってしまいました。

あとは西太后や楊喜禎などもなかなか味のある登場人物ではありましたが、ひとりひとりを上げてゆくときりが無い&ネタバレになるので控えます。
最初に述べたとおり中国の近代という日本の小説ではメジャーではない時代のお話ですが、その点が気にならない人であれば強くオススメできる本です。

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このページは、が2007年1月23日 00:22に書いたブログ記事です。

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