12人の怒れる男

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12 Angry men(12人の怒れる男)を借りてきて観ました。
日本でも陪審員制度が導入されるとのことで、勉強?も兼ねてという表向きの理由と、ツタヤでアマデウスを探していたのに40分かけてみつけきれなかったので諦めて、ちょうど近くにあったのを選んだという現実的な理由があるのですが、とても興味深かったです。
とにかく、議論や交渉において最後に勝利するのは「タフネゴシエーター」であるというのは一般的な認識といっても良いのではないかと思うのですが、実際に折衝、交渉、会議などで討論を行うと、自分ではタフネゴシエーターと思っているのかもしれませんが、実際は物分りの悪い頑迷でねちっこい阿呆というのは世の中いくらでもいます。その作品は、タフネゴシエーターとねっちぃ阿呆の違いを明瞭に表現している点がとても印象に残っています。
とはいえ、実社会における交渉と裁判の陪審を同じように考えるのもちょっと違うなぁというところもあって、第一に陪審は陪審員になること自体に損得が発生しない(むしろ時間がもったいないという理由から倦厭されるでしょう)わけですが、実社会での交渉は各自が完全勝利条件を手にしながら、会議での決定をいかに勝利条件に近づけるかという目的がある点は完全な相違点と言えるでしょう。
主人公の建築技師さんは有罪11、無罪1の状態から最終的に全員一致の無罪という結論まで導いたわけですが、その結論で誰にも損得が発生しないので有罪派から無罪派への意見変更が苦も無く行えたわけですから、実利の絡む問題においてはここまで鮮やかに議論をひっくり返すのは至難の業といえます。
この映画から交渉において教訓とするべきところは、同じ話を何度も繰り返してはいけないが、同じ問題を何度も切り口をかえて扱うのは有効である点でしょう。また、この映画ではそういう表現はありませんでしたが、頑迷な馬鹿になりたくなければ勝ち目の無い部分で素直に折れる柔軟さが重要だと考えます。すくなくとも、自分の話ばかり強引にでも通したがるという印象を周りにあたえるのは得策ではありませんし、1-0の勝敗がでる勝負でもないかぎり、「損して得取る」手法は常に必要です。結局は場の空気を上手に掴むことが重要だとおもうのですが、利が背反する場でそれができるならばなにも言うことはなさそうですが・・・。

コメント(4)

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おお! いいものをごらんになったようで。リメイクもされてましたよね。そのほか、三谷幸喜原作の『12人の優しい日本人』もオススメです。
裁判員制度、始まったら是非やってみたいと思うのですが、他人の人生が自分の判断ひとつで大きく変わると考えると恐ろしくもなりますね・・・。
交渉についての考察は大変勉強になります。

続けて、優しい日本人をどうぞ、と書こうとしたら先越されましたね
と、いうことで別の映画
怒れる男と同じシドニールメット監督、ポール・ニューマン主演の「評決」
12人みたいな密室劇じゃないし、話もドラマドラマしてるけど、結構いいですよ

>大尉
裁判員はなにより時間の拘束が痛いですね。まる1日で終わるのならば割り切って参加する気にもなるのですが。やってみたい気持ちはありますが、現実は難しいかなぁと思います。

>Pig氏
「評決」は隣にあって、どちらを借りるか迷ったのですが、よくよくみると評決はDVDがなかったので怒れるになりました。他のツタヤでDVD版があるといいのですが。

あ、「評決」DVD出てないかも・・・・・

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このページは、が2006年9月17日 12:52に書いたブログ記事です。

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