完結したとは聞いていたものの、最後まで読まず仕舞いのこの作品。ひょんなことから遭遇したので最初から最後まで通読しました。
癒し系でありながら、本質的には時の移ろい、孤独、人生の意義について考えされられる、癒しなんだけど場合によってはちょっと凹んだりもする、読みやすい反面複雑な作品です。情緒があり、抽象的というか詩的というか、とらえどころの難しい作風であり、揺らいだ輪郭の中から作品の描写に止まらないイメージをかきたてられるような、通して読むとあまり他に類を見ないという印象を強く受けました。
癒し系コミックということでよくARIAと比較されるのですが、比較するのはまるで無意味です。が、その比較という行為に、もう少し注目されてもいいんじゃないの?ARIAと同じくらいの評価でもいいんじゃないの?という意味合いを感じ、その観点からならば、私も「もうすこし注目されて良い作品である」と同意します。
抽象的で台詞がかなり少ないお話も多いことから、メディア展開が難しく、その点で知名度が伸びにくいという分析がもっともなように思えますが、いちど読んだら印象に強く残るという点では「準名作級」の威力があると個人的には評価しています。とにかく、この作品は読み終わった後味の特殊さは類を見ません。
解説でもなんでもなくわけわからんことをつらつらと書きましたが、光陰、哀楽、刹那と悠久、孤独、喪失、といったキーワードをポジティブに捉えるヒントがあるかもしれない作品です。情緒をあまり意識しない人にとってはわけのわからん駄作にすら思えるかもしれませんが、私には数少ない「手元に置いておきたい」一つです。(でももってないんだよね・・・)
両方読んでます。
確かにARIAと似たよーな雰囲気の作品だと思いますね。
僕はどう比較されてるのかは知らないんだけど、比較のキーになるのは作者の性別と、そこから来る微妙な視点の違いみたいな物は確かに感じるかな。
有り体に言ってしまうと、「横浜」の方に微妙に感じる「オタ臭さ」が、正しい評価を拒んでいる気がします。
>Jigさん
私はヲタ臭ならARIAの方が強いと思います。
両方好きなのですが、ARIAは綺麗にまとまり
過ぎて、負の人間から観るとお話でも眩し過ぎるのに比べ(それが魅力でもあるのですが)、
ヨコハマは世界からして退廃的であり、そこを
基点としてあくまで自然な流れを変えないスタイル
を私は強く支持します。
一般的な評価がぱっとしないのは、「抽象的に過ぎる」
ということに尽きるとおもいますが、それこそがこの
作品の魅力なので、評価とは無縁でも良いのでは
ないかな~とも思います。
そもそも、比較するのが無粋なのですよね~